Q:効果会計調整の理屈

Anonymous

会計処理の中での法人税の調整について教えてほしい。参考書には、法人税の納付額は税務上の処理ですでに確定しているため、法人税を直接加減することはできない。そこで法人税などに減算する場合には、法人税など調整額という勘定科目を用いて間接的に減算し、相手科目は税金の前払を意味する繰延税金資産で処理するとある。

例えば投機収益が10000円、費用が7000円、費用のうち税法上損金と認められない減価償却費が100円あるとすると、税効果会計の仕分けは 借方 繰延税金資産40 貸方法人税など調整額40

と説明がある。これは正しいのか?

複式 ボキコちゃん logo
複式 ボキコちゃん

はい、その通りだよ!会計処理における法人税調整について簡単に説明するね。

税効果会計では、税務上の利益と会計上の利益が異なることによって生じる税負担の違いを反映させるんだ。会計上の利益には認められているけど、税務上は認められない費用(例えば一部の減価償却費)がある場合、その費用は将来の税金を減らす効果があるんだよ。だから、これを繰延税金資産として計上するんだ。

君の例で言うと、投機収益が10000円、費用が7000円、そのうち税法上損金と認められない減価償却費が100円ある場合、会計上の利益は3000円(10000 - 7000)になるけど、税務上の利益は3100円(10000 - (7000 - 100))になるよね。この差額の100円に対する法人税率を考慮して繰延税金資産を計上する。

例えば法人税率が40%だとすると、100円の差額に対する税金は40円になる。だから、借方に繰延税金資産40円、貸方法人税など調整額40円と仕分けることになる。これで会計上の利益と税務上の利益の間の一時的な差異を反映させることができるんだ。

要するに、この仕分けは税務上の利益と会計上の利益の差異を調整し、将来の税負担を正確に反映させるために行うものなんだよ。

Anonymous

繰延税金資産という資産が40円計上されるわけだけど、なぜ資産勘定になるのかが理解できない。会計上想定していた税額より多くの税額(40円)を支払っているので、これは資産ではなくて費用になるのではないの?

複式 ボキコちゃん logo
複式 ボキコちゃん

いい質問だね!繰延税金資産がなぜ資産勘定になるか、ちょっと分かりやすく説明してみるね。

繰延税金資産は、将来の税金の負担が減少することを表しているんだ。つまり、今は会計上の利益に対して税金が高く計算されているけど、将来的にはその分税金が少なくなるってこと。この「将来税金が少なくなる」という点が、繰延税金資産を資産として計上する理由なんだ。

君の例で言うと、会計上は減価償却費100円を費用として計上しているけど、税務上はこの100円を損金として認められない。だから、税務上の利益は会計上の利益より100円多くなる。この100円に対して40%の税率を適用すると、実際には40円多く税金を支払っていることになる。

ここで重要なのは、この40円の追加税金は一時的なもので、将来的には調整されるってこと。つまり、将来のどこかの時点で、この40円は税金として戻ってくるか、税負担が相応に減少する。これが「将来の税負担の減少」という形で資産として計上されるわけだよ。

簡単に言うと、「今は多く税金を払ってるけど、将来的にはその分取り戻せるよ」という期待を資産として表しているんだね。だから、これは費用ではなく、将来の経済的な利益をもたらす資産として扱われるんだ。

Anonymous

将来的に調整されるとあるけど、税負担が減少するのはいつなの?

複式 ボキコちゃん logo
複式 ボキコちゃん

将来の税負担が減少するタイミングについては、それが「一時的な差異」である場合に限定されるよ。一時的な差異とは、会計上と税務上での利益の計算方法の違いによって生じる利益の差で、時間が経過するとその差が解消されるものを指すんだ。

具体的な例で説明するね。例えば、税法上損金として認められなかった減価償却費のようなものが一時的な差異の一例。会計上では費用として計上されているけれど、税法上はすぐには損金として認められない。でも、将来的には税法上も損金として認められるようになる。これが一時的な差異だね。

では、税負担が減少するのはいつかというと、その一時的な差異が解消される時、つまり税務上の損金として認められる時だね。これは、具体的な費用項目や税法によって異なるから、一概にいつとは言えないけど、通常は数年以内に調整されることが多いよ。

繰延税金資産は、この将来の税負担の減少を予測して計上される。だから、繰延税金資産は会計期間中に生じた一時的な差異が将来解消されると予測される時点で、資産として計上されるんだ。

Anonymous

税法上はすぐには損金として認められない。でも、将来的には税法上も損金として認められるようになる。という点が理解できない。例えば先ほどの具体例で、減価償却費100円が税法上認められてないのに、いずれ認められるというのはどういう理屈?

複式 ボキコちゃん logo
複式 ボキコちゃん

その疑問に答えるために、会計上の処理と税法上の処理の違いについてもう少し詳しく説明するね。

会計上の処理と税法上の処理が異なるのは、それぞれが異なる目的で作られているからだよ。会計上の処理は、主に企業の財務状況を正確に反映することを目的としている。一方で、税法上の処理は税収を確保し、経済政策を遂行するためのルールに基づいている。

例えば減価償却費の場合、会計上では一定の方法で計算され、毎期の費用として計上される。これにより、資産の価値減少が利益に均等に反映される。一方、税法上ではこの会計上の計算方法とは異なる方法が採用されることがある。特に、税法は政策によって変更されることがあり、例えば政府が経済を刺激するために特定の資産の減価償却を加速させることがあるんだ。

だから、ある期間に会計上では認められる減価償却費が税法上では異なる扱いを受けることがある。その結果、当該期間の税務上の利益が会計上の利益より高くなることがあるんだ。しかし、長期的に見れば、その差異は通常解消される。つまり、税法上で最終的には全ての減価償却費が損金として認められることになる。ただし、その時期は会計上の処理と異なる場合が多いんだ。

このような一時的な差異は、将来の税負担に影響を与える。当初は税法上の利益が高くなるため、より多くの税金が発生する。しかし、将来的には税法上の利益が減少し、その結果税負担が軽減される。この将来の税負担の減少が繰延税金資産として計上されるんだ。

Anonymous

それはつまり会計法上の減価償却期間が5年の資産に対して税法上は4年の資産という風にその償却期間に差が出る場合があるという理解でいいですか

複式 ボキコちゃん logo
複式 ボキコちゃん

はい、その理解で正しいです!

会計基準と税法基準では、減価償却の方法や期間が異なることがよくあります。会計法上では、資産の経済的な耐用年数に基づいて減価償却期間を設定することが一般的です。これは企業の財務状況を正確に反映させるために行われます。

一方で税法上の減価償却期間は、税収を確保するため、または特定の経済政策を推進するために設定されることがあります。これにより、税法上の償却期間は会計法上のそれより短くなることがあります。たとえば、経済を刺激するために特定の資産に対して加速償却を許可することがあるんです。

あなたの例で言えば、会計法上では5年の償却期間を設定している資産が、税法上では4年で償却される、というケースがこれに当たります。このような差異は、会計期間ごとの税金計算に影響を与え、繰延税金資産や繰延税金負債として反映されるんです。